まちをアルバムにする 宮代町制施行60周年企画 -写真で繋がる 人と地域と歴史-

まちをアルバムにする ~写真で繋がる 人と地域と歴史~

宮代町制施行60周年企画まちをアルバムにする

まちをアルバムにする- 地域のパイ生地づくり

えっ、これバアバ?いとこの○○ちゃんそっくり。

バアバにも若い時代があった!お孫さんは“大発見”

古利根川の向こう岸まで泳いで渡ったなあ。

半世紀前の自分と対面する元・腕白少年たち

これは借金取りという題の芝居をしたときだよ。

若き日の活躍を楽しそうに語る大先輩

新道、東、川端地区の集会所で町の還暦を祝う写真展が開かれた7月20日、
会場にははずむ声とおだやかな笑顔が終日あふれていました。

新道、東、川端地区集会所の様子

撮影:手代木茂篤

1.写真で祝う宮代町の還暦

3地区で集められた写真はおよそ1500枚。
はじめて見る者にもなぜか懐かしい。

女の子がこれ、何をしているのと聞けば、
90歳を越える人生の大先輩が相好を崩して説明し、
小学校の卒業写真の前に同窓生数名が集まれば、
これ、誰だ?○○だよそうだアイツだ
あっ、これは△△先生。今もお元気だよ

とワイワイガヤガヤ。

別の所では、工夫を凝らして写真展示に取り組んだ日本工業大学の学生が、
地元のおばあさんから感謝の言葉をかけられて微笑んでいる…

たった一枚の写真が人を雄弁にするようです。

企画まちをアルバムにするの発端は昨年6月のある日の夕暮れ。

集まれば、宮代を愉快にしたいと考えている面々の雑談がきっかけでした。

来年は、宮代町が誕生して60年。町の還暦だ。何かできないか

宮代の60年を写真で振り返るというのはどうだろう?
押し入れの奥に眠っているアルバムを提供してもらって

つぎの会合で、60年近く前のアルバムをメンバーが持参。

黒い台紙にていねいに貼られたセピア色の写真が目に飛び込んできた瞬間、
一同、懐かしさに沸き立ち、しばらくは収拾がつかないほどの盛り上がりでした。

これで決まり。

発足したまちをアルバムにする実行委員会では、
以下のような基本方針を作成しました。

写真を手がかりにして、年配者同士祖父母と孫隣近所の年配者と若い世代が、
集い語り合い交流しながら、①世代間地域間交流をはかり、
②宮代の現代史を記憶にとどめ、③町の将来に思いをはせる機会とする。
さらに、この企画を通して、④宮代町の存在を内外に知らせる。

8月に入って、メンバーはあわただしくも楽しい準備に取りかかりました。

この企画を実現するには、まず、2つのハードルを越える必要があると考えていました。

1つは、この企画に応じてもらえる地区の開拓。

もう1つは、膨大な数の写真のデジタル化と展示作成を担ってくれる協力者の確保です。

前者は、町の担当者にお願いして、
区長の集まる地区連絡会で趣旨説明を行なうことからはじめ、
その後、商工会、商店会なども訪ねました。

後者は、当初から日本工業大学に的を絞り、
学生の協力を得られないかと先生方に相談を持ちかけました。

当初は、どちらのハードルもそれほど高いとは予測していませんでした。

日本工業大学の石原先生からはすぐに好意的なお返事があり、
次年度 ( 2015年度 ) の授業で扱うことを検討していただくことになりました。

ところが、前者のハードルは思いのほか厳しいものでした。

そのおもな理由は、1年で区長が代わる地区では次年度の約束はできない、
そして、多忙な職務に追われている区長にはこれ以上の余裕がない、
などではなかったかと推測しています。

今後の課題となりました。

1つの工夫として、実行委員会メンバーでもある川端二丁目の区長にお願いして、
川端集会所でプレ展示を実施することにしました。

これは、集会所での写真展示が実際にどのようなものになるのか、
実験をしておきたいとのねらいであり、他地区の区長にも足を運んでいただき
理解を深めてもらうことを意図したものです。

12月と2月、2回の実施で新たに2地区 ( 東地区と新道八町会 ) の参加を
得ることができました。

授業の一環ではないにもかかわらず、写真のデジタル化と展示物作成には
日工大の石原先生と数人の学生のみなさんには全面的な協力をしていただきました。

s28.4 フルトネガワ 姫宮落し合流点

今年4月、日工大で始まった授業を
15人の学生が履修することになったと連絡が入り、
いよいよ本番に向けて作業が順調に始まった
と思っていたのですが、意外にも写真集めが
思うように進まないという事態が発生しました。

回覧でお願いするだけでは不十分とわかり、
結局、区長さんたちが心当たりのお宅に
直接出かけてようやく集めることができました。

これも、今後の課題です。

昔の町の様子

写真が集まってからは文字通り順調な流れが生まれ、
冒頭の7月20日を迎えることができました。

その日の夜、新道集会所の写真展のようすがNHKニュースで放映されました。

1分半ほどのニュースでしたが、この取り組みに協力していただいた区長さん、
写真を提供していただいた各地区のみなさん、
多くの時間とエネルギーを注ぎ込んでくれた日工大の教員と学生のみなさん、
目立たないところでしっかりと後押しをしてくださった町の職員、
おおぜいの方々への感謝の気持ちが募るひとときでした。

2.「パイ生地」が社会を支える

実は、この企画には伏線があります。

宮代町のホームページの片隅にこんなイラストがあるのをご存知でしょうか。

コミュニティ成立の核心を見事に突いたイラストです。

コミュニティのイメージ

イラストのそばには、つぎのような言葉が添えられています。

市民活動が パイ生地のように いく層にも重なっている
多種多様な市民活動が織りなされることで
社会全体が厚みを増す 住む人の満足度も高まる
市民活動や起業、創業にも連なっていく

文化、環境、農まち、パソコン支援、商業、国際交流、福祉、地産地消…

多種多様な活動をパイ生地に例え、1枚1枚のパイ生地が重なり合って
宮代町という厚みのあるパイがつくられているというのです。

パイ生地の1枚1枚は小さなコミュニティと言いかえてもいいでしょう。

完成したパイが大きなコミュニティつまり宮代町全体となります。

コミュニティというと地域社会の意味だと受け止められがちですが、
もともとコミュニティというのは、
趣味であれ、信条であれ、活動であれ、あるいは時には偶然であれ、
何らかの個人の意志でつながった人びとの集合体を指す言葉です。

コンサート活動でつながった人びとの集まりも1つのコミュニティであり、
福祉活動をともに担っている人びとの集まりも1つのコミュニティです。

市民活動にかぎったことではありません。

商工会、消防団、同窓会などもコミュニティといえます。

そして、さまざまな理由で3万3000人が住み合わせている宮代町も大きなコミュニティです。

当然ながら、1人がたくさんのコミュニティに属していることになります。

宮代町という大きなコミュニティ=パイは、
たくさんの小さなコミュニティ=パイ生地でつくられていて、
いろんな味わいのパイ生地がたくさん重なり合えば重なり合うほど、
厚みが増し、味わい深いパイができあがる。

このイラストはそんなことを表現しています。

私たちの町に、こんな高い見識をもつ職員がいるなんて頼もしいかぎりです。

忘れてならないのは、多種多様なパイ生地を絶えずつくり続けることです。

今あるパイ生地を守ることはもちろんですが、守るだけでは不十分です。

時代の流れのなかで消えていくパイ生地が必ずあるのですから。

例えば、須賀村では昭和20年に、百間村では翌21年に発足した青年団は
戦後の困難期を乗り越える大きな原動力の1つとして活躍しましたが、
昭和38年にその役割を終えています。

それから10年、青年団の役割を肩代わりするように始まったのが、
体育祭 ( 昭和48年 )、文化祭 ( 昭和54年 )、町民祭り ( 昭和59年 ) で、
今も町全域に広がる三大パイ生地です。

人びとのつながりがつくるパイ生地=小さなコミュニティそのものは
建物のような構造物ではありません。

でも、パイ生地づくりを促進させるための場は欠かせません。

昭和41年の和戸公民館以後、百間、川端、須賀、西粂原と
40年代は公民館設置が急速に進み、
昭和55年には待望の進修館が町のコミュニティセンターとしてオープンしました。

さらに町内39カ所に設けられた集会所も小規模ながら、
自治会活動、文化活動、趣味のサークルなどの場として
小さなパイ生地づくりに役立っています。

多様なパイ生地が重なり合って厚く力強い社会を支える。

実は、「まちをアルバムにする」という企画は、町のホームページに触発されて始めた
1枚のパイ生地づくりのささやかな試みでもあったのです。

3.今後の取り組み

2015年9月4日、まちをアルバムにする実行委員会が顔を合わせ、
今後のことを話し合いました。

決まったことは2点です。

1.3地区で行った写真展のまとめとして、
2015年9月28日~10月12日の2週間、進修館で集合展を開催する。
最終日の10月12日には、写真を提供していただいた方に登場していただき、
昔話や写真の背景などを語っていただく。
( その後、この集合展に稲荷町の参加が決まりました。)

2.日工大の石原先生から内諾を得たので、
来年度も企画展まちをアルバムにするを実施する。
還暦にこだわらず、新たな参加地区を募る。

この写真展、実施してみると、
事前に思い描いたものよりずっと愉快で楽しいものとなりました。

今回参加されなかった地区の皆様に自信をもってお勧めできます。

来年度はぜひご参加ください、と。

まちをアルバムにする実行委員会メンバー 藤林泰

参加大学生の声

まちをアルバムにする計画 参加大学生の声

最初の1コマ

昭和30年7月20日。

百間村と須賀村の合併により宮代町は誕生しました。

それから60年が経ち、まちをアルバムにするとして
宮代町の60年間を振り返る計画が始まりました。

そして60年目の平成27年7月20日にて、
宮代町の皆さんと日本工業大学の学生たちによって還暦を祝う場が設けられました。

始まりは授業の1コマの宮代町の写真展を行うという、約半年間の計画でした。

まちをアルバムにする計画は昨年から考えられていて、
実際に川端地区では2度展示会が行われていました。

今回は 新道川端東 の3つの会場にて行うことが決まっていました。

私たち学生の役割は実際に写真の展示方法を決めることで、
計画の最初は会場の調査から始まることとなりました。

3つの会場は普段は集会所として利用されている場所で、
どちらかと言えば一般家屋に近く、スペースとして使えるのは和室のみでした。

ただし、集会所として使われているため改装などは出来ないとのことでした。

実際に寸法を測ったり、図面から構想を立てたり、建築模型を作ってみたり。

展示の方法を模索するべく、様々な案を出していきました。

町の歴史を写真で触れる

5月の後半になると、実際に飾る写真が集まり始めました。

集められた写真をそのまま使うわけにもいかないので、
1度スキャンすることになりました。

実際に写真を手に取ることで宮代町の人々の60年間が紐解かれていきました。

日常や風景を写したものやイベントの写真、旅行先での撮られたものなど様々な写真。

年代の分かるもの分からないものなど、その数は1000枚近くになりました。

私たちはその写真がどんな風に撮影されたか、誰が撮った写真なのか分かりませんでした。

しかし色々な宮代町を知ることが出来ました。

なぜなら写真をスキャンしている時に、地域の皆さんと一緒に作業をし、
お話を聞いていたからです。

写真のエピソードは地域の皆さんだけが知っているもので、
撮影した人や写っている人が既に亡くなっている写真でも、
お話して頂いたものは多く、写真を見るだけでは分からないものも、
次第に分かっていきました。

また、川端地区では地域の古地図まで見せていただきました。

その古地図と現在の様子を教えていただき、
その他にも色々なエピソードを教えていただきました。

こうした貴重な写真は滅多に見ることはできません。

しかし、貴重な写真を持ち寄っていただけたこと、その写真のお話を聞けたことにより、
地域の皆さんと学生とが一丸となってまちをアルバムにするは進められていきました。

こうして、まちをアルバムにする計画はいよいよ本格的になっていきました。

展示方法が決まると、少しずつ形になっていき、
スキャンしたものをただ印刷しただけではなく、
少し工夫して作成することで少しずつ私たちの手によって実物となっていきました。

20代の私たちが宮代町の60年間を再生していくのはなんとも不思議な感覚でした。

ただ、それを完全に再生するのは、やはり宮代町の町民の皆さんの手でした。

町の還暦祝いの日

7月になり、本格的に展示計画が形になっていきました。

宮代町が誕生したのは7月20日。

この日に向けていよいよ展示の実物が完成していきました。

3つの会場によってそれぞれ形は異なるものの、60年間の歴史が形作られていきました。

会場の準備が完了すると、いよいよ宮代町の誕生日である7月20日を待つだけでした。

私たち学生の数ヶ月の努力と町民の皆さんの力によって、
宮代町の60年間を形にすることができました。

そして、いよいよ7月20日が訪れました。

宮代町の皆さんが会場に訪れると、会場は一気に賑やかになり、
それまでの作業では知らなかった当時のエピソードが様々な人達によって語られました。

私たち学生が知らないことも多く語られ、何より驚いたのが、
会場には比較的若い人たちも来ていたことです。

小学生くらいの子どもも家族と参加していました。

また宮代町の様々な人達によって会場は盛り上がっていきました。

宮代町の還暦の誕生日は、多くの人達と学生たちによって祝われました。

そして7月20日、宮代町の昔話は尽きることがありませんでした。

「まちをアルバムにする」とは…

私たち学生は20歳で、宮代町に住んでいる人はいませんでしたが、
この計画に携わっていくとともに宮代町に心惹かれていきました。

何より、写真だけでは伝わらないことも多く、
宮代町の方々のお話でエピソードを知ることが出来ました。

この展示計画で語られていなければ、後世に伝えられなかったものも多くあり、
それを伝える場が作られたことは大きな意味があったと思います。

当時を知る人は減ってしまっても、
写真を通して当時の様子は後世にまで受け継がれていくと思いました。

宮代町の還暦は、多くの人達に笑顔を与え祝福されました。

後日、7月26日に新道地区の夏祭りが行われました。

あまり多くの話は聞くことはできませんでしたが、
まちをアルバムにするについての感想を聞くことが出来ました。

こうした写真を改めて振り返る場は今まで無く、
ただ展示するだけではなく色々な工夫がされていたことに驚いていた方もいました。

色々な感想を聞いてみると、この計画に参加して本当に良かったと思いました。

また、この展示会を知って他の地域でも同じような展示会を行いたい、
という動きもあります。

東武動物公園もこれに賛同しているようなので、
大きな反響がでたことは正に大成功と感じました。

展示企画は、今決まっている範囲では9月から10月にかけて進修館で行われる予定です。

3つの集会所で沢山の人に楽しめた企画なので、進修館でも良い企画になるよう頑張ります。

日本工業大学情報工学科 手代木茂篤

進修館WEBスタッフの感想

まちをアルバムにするを見て

平成27年7月20日まちをアルバムにする計画の実施日に
新道集会所、川端集会所、東集会所の3つの集会所を訪れ、
皆さんのお話を聞くことができました。

今回の計画では宮代町に住んでいる方の協力を得て写真を集め、
集めた写真を日本工業大学の学生さんの技術の粋によって展示されていました。

新道集会所にて

新道集会所の様子

私が最初に訪れた新道集会所では、大きな白い布に
写真が転写されたテーブルクロスが飾られていて、
ガラス格子の窓には太陽の光を利用して、
写真を綺麗に光らせる手法で展示されていました。

窓に張られた写真はさながら
ステンドグラスのように飾られており、
私も含め新道集会所に集まった人々を
魅了していました。

町民のみなさんそれぞれに写真を指さしながら、

このお祭りはあの時のものだまだあの商店がある時だから何年前の写真だ

と皆さんの思い出をお話していました。

東集会所にて

東集会所の様子

続いて訪れたのは、東集会所です。

この集会所では写真を印刷し、
型紙などで分厚くして手に持ちやすいような形で
机の上に展示していました。

さらに分厚くすることで写真同士をひもで繋ぎ、
窓枠につるすことで人の目線にあった形で展示し、

また写真を拡大印刷し、パネルのように立てかけて展示していました。

中でも4人の男性が歌舞伎のような化粧をしている写真や、
宮代町になる前に撮られた写真があり、
それを説明する方のお話はついつい長居してしまうくらい楽しいお話が聞けました。

川端集会所にて

川端集会所の様子

最後に訪れたのは川端集会所です。

ここの集会所では柱と柱を紐で繋ぎ、
写真をつるしていました。

歩き回りながら見るかたちをとりつつ、
スライドショーで展示している写真を流していました。

川端集会所では写真を見ながら皆さんでお茶をしながらお話をして、
写真の思い出話に花を咲かせ、スライドショーを見ながら
何年くらいに撮られた写真なのか、写っているのは兄弟じゃないかなと
とても興味深いお話を聞くことができました。

「まちをアルバムにする」を見て

今回まちをアルバムにする計画を見て、
宮代町の歴史、人の歴史が繋がる瞬間を見ることができたと思います。

昔話のようにお孫さんに町のことをお話する方、
セピア色の写真に話を添えて彩るように話す方、
既に亡くなられた方を想ってお話する方がいました。

私たち若い世代は知らない世界のことを教えられ、
昔はこんないい所だったけど今はだいぶ変わってしまった
とお話されていた方もいました。

特に旧利根川の今と昔では大きく違うことを教えられました。

町をアルバムにするとは、昔のことをのちの世代に教え、
更にその次の世代にも繋がっていく計画だと私は思います。

宮代町の還暦のお祝いとともに町の歴史だけではなく、人の歴史を振り返ることで、
宮代町に住んでいた人たちがどんな思いでここに住み、
生活していたかを知ることができる機会だと私は考えました。

これからも宮代町の歴史は積み重なっていき、多くの写真は撮られていき、
まちをアルバムにする計画を通して、町民の言葉によってその歴史に色がついていく。

今回の計画で、とても貴重な場面を見られたことを嬉しく思います。

コミュニティーセンター進修館 丸子玲於奈

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